ぶどうイメージ画像

Commentary

葡萄解説

ウイルス病について

ウイルス病とM.T.C.苗について

 ブドウに関しては世界で20種ほどのウイルス病が発見されています。その中には、糖度の低下、着色不良、収量減、衰弱短命などをもたらすものもあります。主なものはリーフロール(葉捲病)、フレック、コーキーバーク(樹皮のコルク化)、ファンリーフ(縮葉病)など4種の主要ウイルスです。
 また、ステムピッティング(枝幹異常症)は幹の粗皮を剥ぐと無数の穴や溝が生じているウイルスで、植え付け5〜6年後に発生してだんだん樹勢が衰えます。本病は成長点組織培養苗には発生しません。
 巨峰群品種では地域的にモザイク病が見られ、ハモグリダニによって伝播することがわかりました。モザイク病はその産地全体でダニを駆除する休眠期防除を徹底すれば克服出来ます。
 「ウイルスフリー苗」とは前述の主要な4種のウイルスを持っていないことを検定確認して合格した苗木を意味し、成長点頂部組織培養(M.T.C)でフリー化した、健全で品質の高い果実を実らせる苗木を当社では主力に生産しています。
 Mは成長点(Meristem)、Tは先端(Tip)、Cは培養(Culture)の頭文字をとったもので、当社はこの培養したウイルスフリー母樹の穂で生産した苗をM.T.C.苗と呼称しております。
本サイトではMアイコンで表記しております。

ウイルス検定合格母樹証明証

 「ごあいさつ」の下の写真にて紹介していますように当社は1987年に国からブドウのウイルス検定合格証の第1号を全国に先駆けていただきました。1995年には再度母樹検定を申請し主要22品種の合格証をいただいております。
 合格樹はいずれも着色、糖度、熟期、収量の点など優秀で、樹は健康旺盛です。

ウイルス病の感染について

 ウイルスは栽培年数を経過しますと再び感染する可能性があるといわれています。接木感染はよく知られていますが、虫媒感染、土壌感染、接触感染など、一部感染経路が分かった例もありますが、未知の分野もあります。当社では国の検定合格証明証を戴き、細心の注意を払ってウイルスフリー苗を生産しておりますが、栽培を続けている間に、万一その樹がウイルスに感染した場合、その責任を全て当社が負うことは不可能です。
 そこで、当社は最初に組織培養してからの年数が経過しましたので、数年前から生食用、ワイン用の主要品種や主要台木などの数十品種を選び、現在、再度の成長点組織培養を依頼しております。現在、順次、入手した培養樹を増殖中です。
 組織培養は品種数も多く、経済的にも大変ですが、できる限りの努力はしておりますので、このような事情をご理解いただき、今後とも情報の交換など、ご協力、ご支援を伏してお願い申し上げます。