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Commentary

葡萄解説

新発表の最新品種と話題品種

あづましずく

あづましずく

昭峰®

昭峰®

黄妃

黄妃

紅緋

紅緋

 本年度新たに4品種の苗木の販売をいたします。
 1つ目は、福島県育成「あづましずく」。交配親は「ブラックオリンピア×4倍体ヒムロッド」。最大の特徴は、極早生品種という点。育成地において熟期が8月上旬~中旬。大粒で着色よく、果肉柔らかく果汁豊富なところから、日本人好みの品種。弊社の「紫玉」と、比べてみたい。基部から5節程度まで太くて硬い特徴があるため、短梢栽培向きと考えます。
 次に、長野県の飯塚果樹園(会長 飯塚芳幸氏)育成の「黄妃(おうひ)」と「紅緋(こうひ)」の2品種。交配親は「YI15(真沙果®:アウローラ21×カッタクルガン)×シャインマスカット」の兄弟品種。
 「黄妃」は、黄緑色の品種。カッタクルガン譲りのえくぼ型の粒で高糖度、渋みが無く甘さの中に爽やかな香りがあり、皮ごと食べられる。皮は薄いが裂果性は少ない。花穂分化が良好で、短梢栽培にも適応する。熟期は「シャインマスカット」より5日程度遅い。
 「紅緋」は、鮮紅色で楕円形の中粒品種。果肉のゼリーやジュレに似た食感が面白い。「マスカット」香が高く高糖度、渋みが無く甘みと酸味のバランスがとても良いので爽やかな余韻が楽しめ、皮ごと食べられる。熟期は「シャインマスカット」より7日程度遅く、直光型の着色品種の為着色管理が必要です。
 「黄妃」と「紅緋」は、飯塚果樹園との契約のもと、弊社で独占販売いたします。
 次に、長野県の北澤ぶどう園(園主 北澤文康氏)育成の「昭峰®(しょうほう)」」。交配親は、「紅環×シャインマスカット」。最大の長所は、粗着ですらっとした花穂を持ち、摘粒等の作業が容易なため、省力化出来る。果粒は「カッタクルガン」の様な縫合線を持つ丸形。果肉は懐柔性で「マスカット」香を持ち皮ごと食べられる。熟期は巨峰と同程度で、長梢・短梢剪定共に可能である。
 飯塚果樹園と北澤ぶどう園は、弊社も所属する「J・V・C(ジャパン・ヴィティカルチャー・クラブ)」という、葡萄の栽培技術の研究と育種をする葡萄栽培者が集まった全国的な組織の会員で、100名を超える会員の中でも中心的に活動している農園です。
 この会の仲間達が育種した品種の中に良いものが有れば、また皆様にご紹介させていただきます。今後の「J・V・C」会員の活躍にもご期待下さい。

マスカ・サーティーン

マスカ・サーティーン

マスカット・ノワール

マスカット・ノワール

 「マスカット・ノワール」(第2位)は弊社交配の「シャインマスカット×ジーコ」です。2014年初結果した着色のいい紫黒色で、マスカット香があり、期待していた「シャインマスカット」の二世です。これで白・赤(2品種)・黒の三色の皮ごと食べられる種なしの「シャインマスカット」の子供が揃いました。本種はだんだん果粒が大きくなり、果房も立派になってきました。700g程度の房形にしても、着色は良好です。
 弊社育成の「マスカ・サーティーン」(第3位)は「ロザリオロッソ×シャインマスカット」の中から選抜した黄緑色品種(13号)です。「シャインマスカット」よりマスカット香が上品で、食味もコクがあり美味しく、種なしになり、「シャインマスカット」より皮が柔らかくて皮ごと食べ易く、透明感があって外観もよく、魅力があります。「ロザリオビアンコ」の味に「シャインマスカット」の長所を加えた大粒の新品種で、弊社の主力品種に成長させたい品種です。人気が高く、ご注文は沢山いただきました。本年度はより苗数も増えますので、ご期待下さい。
 「スカーレット」(第6位)は「ヌーベルローズ」と同じく「ロザリオロッソ×シャインマスカット」の交配ですが、その中で粒の最も大きい鮮紅色品種です。親の「シャインマスカット」より大粒の美しい赤品種になり、糖度も高く、ジベ処理による種なしで、皮ごと食べられます。裂果もありません。外観はいいのですが、香りがありません。しかし、年々大粒になり見事なため、評価が高まっております。マスカット香があればいいのですが、充分消費者には喜んでいただける外観と旨い食味です。
 弊社育成の「ヌーベルローズ」(第11位)は「ロザリオロッソ×シャインマスカット」の交配で美しい鮮紅色、楕円形中粒品種です。ジベ処理すると種なしになり、皮ごと食べられ、マスカット香があり、20〜22度と高糖度で非常においしい食味です。「シャインマスカット」と比べ、やや小粒ですが、成木になるに従ってだんだん大粒化してきました。果皮が薄く、抵抗なく皮ごと食べられ「シャインマスカット」を超える食べ易さです。美しい色と、マスカット香の良さが特徴です。
 山梨県の育成品種「甲斐キング」(第16位)は、「ピオーネ×山梨46号(巨峰×巨峰)」の交配。非常に大粒で平均果粒重が20gを超え、1粒重30g程度になる栽培技術も確立された、食味の優れる紫黒色の中生品種です。「巨峰」と「ピオーネ」の中間に収穫出来、山梨県内のみでしか栽培出来ない為、普及の広がりに期待する声が高い品種です。
 山梨県の育成品種の「ジュエルマスカット」(第14位)は、山梨県果樹試験場が「山梨47号×シャインマスカット」の交配によって得られた新品種です。大粒の黄緑色長楕円形品種で、「シャインマスカット」より10日程成熟が遅い、ボリューム感ある品種です。ジベ処理で種なしになり、皮ごと食べられます。糖度高く、肉質もいい品種ですが、マスカット香はありません。本種は全国に販売できます。

クイーンニーナ

クイーンニーナ

シャインマスカット

シャインマスカット

 国育成の紫黒色巨大粒の新品種「グロースクローネ」(第13位)の最大の特性は西南暖地の高温化でも着色が優れ、巨峰、ピオーネの赤熟れの心配がない品種だという強みです。交配は「藤稔×安芸クイーン」ですが、藤稔の着色の良さを受け継いだ品種で期待されております。母樹も順調に育ち穂木の確保も予定通り出来る体制が整いました。以前のようにお待たせすることなく苗木の販売が出来るようになりましたので、是非ご注文くださいますようお願い申し上げます。
 「涼香」(すずか)(第15位)は人気上昇中です。これは福岡県が品種登録した紫黒色の大粒新品種で、「巨峰」より一週間早熟です。二倍体ですが、粒は平均9.6gあり、着色良好です。しかも「シャインマスカット」に似たマスカット香があります。西南暖地でもよく着色する「巨峰」より栽培容易な早熟種で、短梢栽培にも適した期待品種です。
 「BKシードレス」(第8位)も苗数が増えつつあります。これは九州大学が品種登録した紫黒色の三倍体・種なし新品種です。親は「マスカットベーリーA×巨峰」で、粒は大きく10 ~ 16g。豊産で着色もよく、糖度も高く、レーズンやジャムなど、加工用としても期待できる栽培容易な品種です。
 信州大学の許諾を得て発表した山ブドウ品種「貴房」は、‘五一アムレンシスⅡ系’(チョウセンヤマブドウ系の未登録系統)の自然交雑種子から選抜・育成した品種である(種苗登録第27302号、2019年2月14日)。豊産生で果実の機能性に優れており、加工用品種として注目されている品種です。
 第5位にランクされた国作出の鮮紅色巨大粒の「クイーンニーナ」は、巨峰系品種ですが、徐々に欧州種の肉質に近づきつつある傾向がうかがえます。「クイーンニーナ」は色素が多く、着色が良好で、粒は「ピオーネ」より大きく、肉質がやや硬く、欧州種に似て噛み切りやすい崩壊性です。本種は鮮紅色の巨峰系品種の中では、一番人気になりました。
 次に、期待のワイン用品種、「モンドブリエ」(第11位)は山梨県が国の要請を受けて育成した新品種で、シャルドネにベと病に強いカルガ・ホワイトを交配した品種です。黄緑色、小振りの小房で糖度は23度程度と高く、耐病性、耐寒性強く、豊かな香りのワインが出来、評価の高い品種です。もう一つは白ワイン用の新品種「コリーヌヴェルト」です。交配は最高品種のシャルドネと香りのいいケルナーですから、品質は期待されます。