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Commentary

葡萄解説

新発表の最新品種と話題品種

グロースクローネ

グロースクローネ

コリーヌヴェルト

コリーヌヴェルト

 国育成の紫黒色巨大粒の新品種「グロースクローネ」(第9位)の最大の特性は西南暖地の高温化でも着色が優れ、巨峰、ピオーネの赤熟れの心配がない品種だという強みです。交配は「藤稔×安芸クイーン」ですが、藤稔の着色の良さを受け継いだ品種で期待されております。母樹も順調に育ち穂木の確保も予定通り出来る体制が整いました。以前のようにお待たせすることなく苗木の販売が出来るようになりましたので、是非ご注文くださいますようお願い申し上げます。
 「スカーレット」(第4位)は「ヌーベルローズ」と同じく「ロザリオロッソ×シャインマスカット」の交配ですが、その中で粒の最も大きい鮮紅色品種です。親の「シャインマスカット」より大粒の美しい赤品種になり、糖度も高く、ジベ処理による種なしで、皮ごと食べられます。裂果もありません。外観はいいのですが、香りがありません。しかし、年々大粒になり見事なため、評価が高まっております。マスカット香があればいいのですが、充分消費者には喜んでいただける外観と旨い食味です。
 「涼香」(すずか)(第19位)は人気上昇中です。これは福岡県が品種登録した紫黒色の大粒新品種で、「巨峰」より一週間早熟です。二倍体ですが、粒は平均9.6gあり、着色良好です。しかも「シャインマスカット」に似たマスカット香があります。西南暖地でもよく着色する「巨峰」より栽培容易な早熟種で、短梢栽培にも適した期待品種です。
 「BKシードレス」(第10位)も苗数が増えつつあります。これは九州大学が品種登録した紫黒色の三倍体・種なし新品種です。親は「マスカットベーリーA×巨峰」で、粒は大きく10~ 16g。豊産で着色もよく、糖度も高く、レーズンやジャムなど、加工用としても期待できる栽培容易な品種です。

マスカサーティン

マスカ・サーティン

マスカット・ノワール

マスカット・ノワール

 弊社育成の「マスカ・サーティーン」(第3位)は「ロザリオロッソ×シャインマスカット」の中から選抜した黄緑色品種(13号)です。「シャインマスカット」よりマスカット香が上品で、食味もコクがあり美味しく、種なしになり、「シャインマスカット」より皮が柔らかくて皮ごと食べ易く、透明感があって外観もよく、魅力があります。「ロザリオビアンコ」の味に「シャインマスカット」の長所を加えた大粒の新品種で、弊社の主力品種に成長させたい品種です。人気が高く、ご注文は沢山いただきました。本年度はより苗数も増えますので、ご期待ください。
 「マスカット・ノワール」(第2位)は弊社交配の「シャインマスカット×ジーコ」です。2014年初結果した着色のいい紫黒色で、マスカット香があり、期待していた「シャインマスカット」の二世です。これで白・赤(2品種)・黒の三色の皮ごと食べられる種なしの「シャインマスカット」の子供が揃いました。本種はだんだん果粒が大きくなり、果房も立派になってきました。700g程度の房形にしても、着色は良好です。
 弊社育成の「ヌーベルローズ」(第7位)は「ロザリオロッソ×シャインマスカット」の交配で美しい鮮紅色、楕円形中粒品種です。ジベ処理すると種なしになり、皮ごと食べられ、マスカット香があり、20〜22度と高糖度で非常においしい食味です。「シャインマスカット」と比べ、やや小粒ですが、成木になるに従ってだんだん大粒化してきました。果皮が薄く、抵抗なく皮ごと食べられ「シャインマスカット」を超える食べ易さです。美しい色と、マスカット香の良さが特徴です。
 山梨県の育成品種の「ジュエルマスカット」(第12位)は、山梨県果樹試験場が「山梨47号×シャインマスカット」の交配によって得られた新品種です。大粒の黄緑色長楕円形品種で、「シャインマスカット」より10日程成熟が遅い、ボリューム感ある品種です。ジベ処理で種なしになり、皮ごと食べられます。糖度高く、肉質もいい品種ですが、マスカット香はありません。本種は全国に販売できます。
 「サマークイーン」(第26位)は当所が「悟紅玉(旧ゴルビー)×紅伊豆」の交配で育種した最早熟の鮮紅~紫紅色巨大粒品種です。親の「紅伊豆」は軟らかい肉質が難点ですが、「悟紅玉」を父親にして、やや果肉が締まり、糖度が高く、濃厚な食味の早熟品種が生まれました。着色がよく観光園に最適ということで、秩父のブドウ生産グループが命名してくれました。耐病性も強く、栽培も容易ですから趣味栽培にも適しています。

クイーンニーナ

クイーンニーナ

 志村富男氏の極大粒黄金色の「雄宝」(第23位)と着色容易な鮮紅色の「コトピー」(第41位)、も上位に入っております。これらもジベ処理で巨大粒・種なしになります。「雄宝」の交配は「シャインマスカット×天山」です。ジベにフルメットを混用して処理すると25gの巨大粒になり皮ごと食べられる黄緑色でボリューム満点の話題品種です。「コトピー」は「甲斐乙女×シャインマスカット」で、着色よく、「シャインマスカット」大の粒になる作り易い紅色種です。
 第6位にランクされた国作出の鮮紅色巨大粒の「クイーンニーナ」は、巨峰系品種ですが、徐々に欧州種の肉質に近づきつつある傾向がうかがえます。「クイーンニーナ」は色素が多く、着色が良好で、粒は「ピオーネ」より大きく、肉質がやや硬く、欧州種に似て噛み切りやすい崩壊性です。本種は鮮紅色の巨峰系品種の中では、一番人気になりました。
 「サニードルチェ」(第36位)は山梨果試作出の鮮紅色大粒の美しい欧州種です。肉質はしまり、糖度高く、食味最高の高級種で、果皮ごと食べられます。ジベ処理専用種で種なし栽培します。親はバラディー×ルビーオクヤマですから、品質は親に似て、申し分ないのですが、果皮が薄く、被覆栽培の方が安全です。樹勢旺盛で作りやすく、期待できる新品種です。本種は全国に販売できます。
 次に、期待のワイン用品種、「モンドブリエ」(第14位)は山梨県が国の要請を受けて育成した新品種で、シャルドネにベと病に強いカルガ・ホワイトを交配した品種です。黄緑色、小振りの小房で糖度は23度程度と高く、耐病性、耐寒性強く、豊かな香りのワインが出来、評価の高い品種です。
 もう一つは白ワイン用の新品種「コリーヌヴェルト」です。交配は最高品種のシャルドネと香りのいいケルナーですから、品質は期待されます。