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Commentary

葡萄解説

はじめに

 いつもお引き立てありがとうございます。さて、「シャインマスカット」の人気が止まりません。昨年(2021年)の弊社販売順位は、相変わらず断トツの第1位です。2009年からほぼ10年間にわたり、連続第1位なのです。全国の栽培面積も急上昇しております。業界アンケートでも日本の果物界の連続的トップスターです。食味が優れ、種なしで皮ごと食べられる特性が、現代人の心をしっかりとつかんだようです。「シャインマスカット」の登場で、種なし・皮ごと品種の戦国時代が始まっております。弊社のオリジナル品種「甲斐路」「ロザリオビアンコ」は残念ながら順位が下がってしまいました。
 そこで、最近の育種の目標は、人気品種「シャインマスカット」を親にして、種なしで皮ごと食べられる、品質の高い早熟~中熟品種を作出することです。数年前から「シャインマスカット」の子供たちが結果し始め、弊社では白・赤・黒系統を選抜し、試験栽培を続けております。
 その中から「シャインマスカット」以上に皮ごと食べ易い、期待が持てる種なしの大粒鮮紅色品種「スカーレット」、旨さが自慢の「ヌーベルローズ」、緑黄色の皮ごと食べ易い「マスカサーティーン」、紫黒色のマスカット香ある「マスカットノワール」などを発表いたしました。これらは「シャインマスカット」に「ロザリオビアンコ」の旨さをミックスさせた品種なのです。
 それに加えて、国が育成した巨大粒紫黒色の「グロースクローネ」、九州から生まれた種なしの紫黒色新品種「涼香」、「BKシードレス」の3品種と、白ワイン用の、品質の高い「コリーヌヴェルト」の許諾を得てこれらの品種を発表いたしました。
 なお、「ブラックキング®(品種登録名:甲斐ベリー3)」も発表いたしました。非常に大粒で食味が優れる紫黒色の中生品種です。本種は山梨県のオリジナル品種であり、現時点では山梨県内のみの限定販売です。
 これからも、新たな時代の要請に応え、「育種なくして発展なし」の信念を持って「シャインマスカット」に匹敵するような未発表品種の試作と、更なる育種を続けてまいります。